ぽかぽか
ぬくぬく
柔らかく温かい日差しに目を細め
私は空を見上げた
...空色君模様...
パンッパンッ
小気味いい音が庭中に響く
私はその音を聞きながら縁側でのんびり父様の外套のほつれを直していた
「、終わったよ」
庭に洗濯物を干しきった彼が籠を肩に担ぎながらやってきて
「ありがとうございます、ヒノエ」
隣に腰を下ろす彼に微笑む
「ふふ、姫君の頼みごとならなんでもやるよ?」
いつもの調子で戯言を紡ぐ彼
「いやですわ、湛増様。
それでしたら、父の書斎の掃除でもいかがです?」
いつもの調子で戯言に付き合う私
「はは、それは勘弁だね」
彼は困ったように笑った
「でしょうね」
私がくすりと笑えば不満だったのだろう
ヒノエは頬を膨らましている
「、性格が叔父貴に似てきたんじゃないかい?」
少し嫌そうに、でもどこか楽しそうに言う彼に
今度は私が苦笑した
「そうですか?でしたら、ヒノエの睦言は通用しませんね」
「ああ、それは困るな
そうじゃなくても姫は中々、手中に落ちてはくれないのに」
そっと、針を持っていた手が彼の掌に包まれる
沢山、傷のついたごつごつした手
私は彼の手が好き
沢山の人を纏め上げ、沢山の人を救う
そんな立派な手
「一人くらい、思い通りにならない女性がいた方が楽しいでしょう?」
彼の掌に唇を落とす
「っ!?・・・確かに。その方がおもしろい」
私の行動に一瞬、驚いた後
彼はニヤリと笑って私の瞼に唇を落とした
彼の笑顔も好き
キラキラ眩しくて
彼の口付けも好き
優しくて温かい
「ヒノエ、針が刺さってしまいますよ?」
私は彼の掌からゆっくり自分の手を抜いた
「綺麗なものには棘がある・・・ってね?」
針仕事を再開しながら彼の言葉に首をかしげる
「異国の諺さ」
くすりと笑って彼はごろりと寝転がった
その仕草がどこか子猫のようで、私は思わず笑ってしまう
気がつけば彼からは小さく寝息が聞こえてきて
「全く・・・・」
まだ幼さの残る寝顔
時には大人びたり
子供のようになったり
そんなあなたのころころ変わる表情も好き
「いけない人・・・・」
―― 父様がよく女性に使う科白を私が言うのは如何なものだろう・・・
そう思いながら、ほつれを直し終わった外套を彼の上にかけてやる
お日様の光をいっぱい浴びた漆黒の布は心地よく
私も釣られる様に寝転がった
「やだ、髪たべちゃってる」
彼の口に入ってしまっている焔色の髪をとって
ゆっくり髪を撫でた
この太陽のような
それでいて夕闇のような
紅く綺麗な猫毛も好き
「大好きですよ、ヒノエ」
目の前にあった彼の手をぎゅっと握って
私は空を見上げた
真っ青な空は暖かくて優しい
とっても陽気
空も好き
――だって、あなたが私にしてくれることと同じなんだもの
「私はもう、気持ちを抑えられないくらいに・・・」
―― ヒノエのものなんですよ?
睦言も駆け引きも
そんなものなくたって
「私はヒノエの手中です」
眠る彼に微笑んで、私は瞼を下ろした
優しい陽気に誘われ
あなたと手を繋いで眠りましょう?
ぽかぽか温かな日差しに
あなたを重ねて想います
―― 私はずっとあなたを好きだと
〜fin.
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きり番2000を踏んで、書いてもらいました!!
サイトで連載されている、『君と奏でる子守唄』の番外ですv
うひゃ〜!!! 素敵すぎて、悲鳴を上げてしまいましたよっ!!
ヒノエが! ヒノエが!! 可愛いっ!!!
動揺するなんてすっごく萌えですよね♪
さらに一緒にお昼寝という特典まで!!
これはもう飾るしかないと思い、嫁にもらってきてしまいました(笑)
他の人のヒノエ創作を読むのって、いい刺激になりますv
萌え補充をしたところで、私もがんばりたいと思います!
こんな素敵なお話を書かれていますサイトさまはこちら↓